これからどんな絵を描くのだろうか
昭和50年7月、東京都杉並区立桃井第一小学校で開かれた国語教壇修養会に初めて参加しました。真夏の体育館には氷柱が何本も置かれ、屋根に水をまくほどの猛暑です。
私はそこで人生を決める授業に出会いました。笠原昭司先生の ” メモアール美術館 ”(光村6年)です。男の子が迷い込んだ美術館には、彼が今までしてきた事が絵になって飾られていました。不思議なことに、最後の1枚だけがなぜか真っ白。
先生の最後の質問。「あなたたちは、これからどんな絵を描くのだろうか。」会場(200人ぐらいの参加者)はシーンと静まり、私は一瞬時間が止まったように思いました。そして、私自身が「教師としてどう生きていくのか。」と、問われた気がしました。
国語は生き方を考える教科でもあると言いますが、まさに私自身がそうでした。50年近く経っても、その時の情景はありありと目に浮かびます。退職し、七十歳を過ぎた今も、同志と国語の勉強が出来る喜びを味わっていますが、教式なればこそだと感謝しています。
島根 M.N