12月の話題 1

学びの基礎・基本を考える 1

 小学校での学びの基礎・基本は何でしょうか。
 芦田先生は『自分で自分を育てる楽しさに気づかせることが、教師の役目だ』と示しておられます。このお話から、今月で傘寿になる私が、思い出したことがあります。

 本来人間は、知識や技能を習得することに喜びを感じるようにできているようです。
 幼児がいろいろなことに手を出し、挑戦している姿を見るのは、楽しいものです。
 そして、できたというときの表情は何とも言えません。
幼児のその仕草に勇気をもらえる、と古希を迎えるころになって気づきました。

 いずみ会には「入門期の教式」があります。いずみ会のお母様と敬慕された杉田すま先生の話が、百回記念誌に載っています。その中に下のような文言があります。

 肝心なのは耳を大切にすることです。しっかり人の話を聴くことです。その為には、先生の発言も大切です。無意味なことは言わない。聞き応えのある話をする。こどもは判れば面白いのです。自分の考えや知識をきちっと整理してくれる話、納得のいく話を理解します。温かいわかりやすいことばで、静にゆっくり話すことです。そして、先生もこどもの話を落ち着いて注意深く聴くことです。 
 絵の中に想像を加えて、動かしてみる。「この犬はどこへ行くのでしょう。」とか、「この山の向こうに何があるのでしょう。」など絵と絵を結びつけてみる。絵の取り扱いをすることで、観察力や想像力も豊かになるのではないでしょうか。
 どの子にもそれぞれ取り柄があるものです。1週間もすれば打ち解ける子もあれば、1年位かかる子もあります。あの子にこんないいところがあったのかと見直すこともあります。他の子と比較するなど無意味です。こちらから心を開いて接すると子どもの方から素直に心を開きます。『ぼくもほんとうはいい子なんだ』という安心感が、ほんとうは、大切なのです。
 共感すること、自覚することの素晴らしさを感じます。集中している姿に近寄りがたいものを感じます。こうして人は人として育つのでしょう。

 これらは、学びの基礎として大事なことのように思いますが、いかがでしょうか。
       東京  T.K    

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