7月の話題 1

どの子も育つ  一 よむ(順繰り読み)1
~ 助松太三先生のお話から ~

 私が初めて助松先生にお会いしたのは、杉並区立桃井第一小学校で開かれた夏の修養会(第70回国語教壇修養会 昭和50年8月4~7日)でした。その時の校長先生です。
 退職後、講師として小学校にお勤めになり、2年生の担任をされました。昭和50年代に校長職にあった方が、講師として勤めるということは他に例がなかったと思います。芦田先生に学ばれた方だなと思いました。
 クラスに障害を持つAちゃん(女)がいました。一 よむは、順繰り読みですが、他の児童が、「Aちゃんは読まないよ。」と、口々に言います。そこで先生は、Aちゃんの番になったら立たせて、「代わりに先生が読むから聞いていてね。」と、Aちゃんに代わって読まれました。これを繰り返すうちに、Aちゃんが自分の力で読むようになったのです。
 修養会に通い始めた頃の私には初めて聞くお話で、とても興味深いものでした。それから10年余り後に、私自身がこのお話を経験することになります。この続きは、次週で……。

  こぼれ話
 助松先生は剣道の高段者と聞いていました。古武士の風格にひょうひょうとした雰囲気をお持ちでした。修養会の宿舎でお聞きした話です。
 芦田先生が顔を剃っておられたので、鏡を差し出したところ、「手かがみがある。」と言って使われなかったとか……。
 (注 芦田先生が渋沢敬三(栄一 孫)が開いた保谷(現西東京市)の野外博物館内の武蔵野民家に疎開されていた頃の話)
      担 当  島根 M.N