12月の話題 3

芦田教式(七変化の教式)入門講座 

 1時間目の二とくは、読後感の感想(印象の強いところ)を整理する時間です。印象の強いところを整理するのですからさし絵を使うのが、子どもの心情に合っています。絵に動きが出るような問い方をすることも想像を膨らませます。しかし、深入りは禁物です。あっさりと扱うのがコツです。さて、前回の続きです。

三よむ (各自が、黙読しながら手引きで示された語句を探す活動です)
四かく
 探した語句を視写します。(師は黒板に、弟はノートに)消しゴムを使わないで見え消しでよいことを知らせます。ここも、教育的配慮です。
 1から3番目の区画は、全員で探しながら書き出します。探し方の練習をしてから子どもに委ねます。これも、教育的配慮です。学級によっては、最後の1つか2つだけにすることも必要です。子どもが選んだものと先生の選んだものが、違ってもよいのです。自分の今の力で選んだことに価値を置きます。ですから、自分の書いたものを消さないように諭します。自分の書いたものの下に板書を写してもよい(写せではない)と伝えます。
 子どもの書いたものを見て回り、学級の状態を把握したり、助言を与えたり、励ましたりする。時間をかけないで回る工夫も教師として育つ時間です。
 全員が書き終ったら机上にあるものを全て机の中にしまいます。これも、教育的配慮です。
五よむ 板書された語句を黙読後音読します。(先生は鞭で指揮をします)

六とく 書き出された7つの言葉をもとに考えます。
○事実・区分
 事実は、書き出された7つの語句を関連づける学習です。私は、1、4,7に書かかれている「じさま」を手がかりに、その異同弁別を考えました。すると、我を忘れた豆太と地の豆太の姿が出てくるので残りの言葉もそこから関連付けられます。
 区分は時を視点に、霜月20日とその前後に3区分できます。更に霜月20日の中も2つに分けられ、4区分となり、起承転結の構成となります。
◎山 詳しく読む区画を決める学習です。(学習計画を立てる)
 私は、起承から1か所、転から1か所、結から1か所を考えました。結(7)から考えると、山の神の祭りを見ることをあきらめた所(3)、豆太の優しさが具体的に表現されている(我を忘れている)所(5)にしました。
○余韻 これは、1時間の授業の中で生まれるものです。
 ◎ひびきの扱いが最後まで効いているかにかかります。最後に取って付けたようにならないことが大事です。

七よむ 板書事項(五よむと同じ)を音読します。(指音読という)
 五よむに比べて張りがある声が出ているかで授業の成否が分かります。

 区画の数を10以下にするのは、七よむで指音読したことをポッケにしまって帰れるようにするためです。メモ風に短い言葉を書くのもその配慮です。ポッケにしまって一晩寝かせて発酵を待つと、次時のおさらいが充実するからです。この発酵を螺旋的向上(同じ活動の繰り返しでもステージが変わる)の力とするのです。「力の弱い子も国語の力を育てる近道だ」と芦田先生は書き残しておられます。