10月の話題 4

鈴木佑治先生の御教壇から ー 1

 笠原昭司先生が綴られている鈴木佑治先生御教壇の筆録は、昭和26年1月に福島県石田小学校で開催された、第5回国語教壇修養会の筆録が最初です。
 鈴木佑治先生は、1年、3年、5年、6年の4つの学年で計13時間御教壇に立たれています。筆録として綴られているのは、3年「ぼくの発見」と5年「小さなおこない」の計6時間分です。
 3年「ぼくの発見」は、五十音の性質を見つけていくという内容です。
 鈴木祐治先生は、3年生の児童が無理なく楽しみながら「五十音は、でたらめに並べたものではなくて、一つ一つの音の性質を考えて並べたものである。」と理会させておられます。
 第1時では、教科書の3枚の挿絵を使い、どんなことが書いてあるかを取り扱われています。その中で「発見したのは何か」と、学習する課題を児童に掴ませておられます。
 第2時では、発音の仕方と五十音の性質について
  1、鼻から出る音の確認
  2、母音と子音の指導については一つずつ詳しく説明され、筆録には、
  「 をのばしてごらん 何となったか。  「あ」となる。
    さ た な ら や は 等第1段目の並びをこの要領でやってみさせる。
   同じ要領で第2段、第3段、第4段、第5段を取扱ってあいうえおの母音にもってくる。
   そうすると、これはことばのもとになるものね。」
  と御指導をされたことが書かれてあります。
  3、発展として、五十音の第3段と、「あいうえお」を組み合わせて、
  くあ くい くう くえ くお が「かきくけこ」と似た音になり、
  「これを知っているとローマ字習う時えらいらくだぞ。4年生になるとローマ字習うぞ。」
  とローマ字学習の基礎や楽しみを喚起されております。
  4、さらに発展として、「動詞の活用」を示されています。

「中学校になると習うが今からやって遊んでいると何でもないぞ。」と先を見通した、3年生にも分かり易い言葉で御指導もされています。
 第3時は、「おさらい」と「漢字の学習」を行っておられます。
 これほど豊富な内容を3時間の扱いで理会を深められるよう御指導されておられます。今、進められているいずみ会の資料のアーカイブ化により、多くの方が読み・学び・深めていかれることを望んでいます。
               宮城 T.S