「学習態度の確立(躾は学習の中で)」
鈴木佑治先生の御教壇の筆録を読みますと、「躾は学習の中で」というお考えが伝わってきます。
授業に集中して取り組もうとしない児童を厳しく御指導され、児童を叱り注意した後には、必ず叱られ注意された児童が理解できるように優しく声をかけ話されるという心に残る御指導をされています。
例を挙げますと、先生の問に答えようとせず鉛筆を以て勝手なことをしようとする3年生児童に、
「鉛筆を持つんじゃない。」と強く注意をされ、
その後、「仕事二つを一緒に出来ないよ。」と話されています。
また、6年生の「海をわたる」の御教壇では、
「次の男の子が立って読み始めたが、少し力が弱く、まごまごする。
それを笑った子供がいたので、
『笑うのでない。
お友だちが一生けん命読んでいるのに、笑うものでないぞ。誰だって間違いはある。
先生だってある。それを一々笑われたらいやだろう。友だちがいがないじゃないか。』
とたしなめられ、殊に態度の狂いの多かった中央最前列の男の子の頭をそっとなでられる。
そして、『読む時は、間違わずに読んでくれるといいなと思いながら聞きなさい。』
とおっしゃられて、にっこりされる。」
と筆録に書かれてあります。
注:緑字は、投稿者による強調。
『躾は学習の中で』
戦前・戦中・戦後と、芦田恵之助先生・鈴木祐治先生の下で国語教育易行道を歩まれた、いずみ会の大先達杉田すま先生は、学習中の躾について、
「ひとの話を静かに聴くということは、思いやりの気持ちを育てます。教科書は子どもの理想の
姿を描いたものだと鈴木先生は言われました。お説教ではそっぽを向く子も絵の中の姿を見て自
得するでしょう。物の扱い方、姿勢、椅子から立つ時、座る時、学習の間に、その都度わからせ
ます。
『ハイ、本を出して…。今度はしまって…。』と練習させても、その時は面白がってやります
が、いつもきちんとやる習慣がついたわけではありません。学習しながら必要に応じて好ましい
行動を教え習慣づけるのです。腰を立てる。目をフラフラさせない(学習に集中する)など勉強
に大切な自覚を持たせたいのです。」
と書かれております。
引用 「芦田恵之助先生没後七十年記念 教式の話」いずみ会刊 115頁から
宮城 T.S