11月の話題 2

余 韻 の 感 動

 私が、初めて修養会に参加させていただいたのは、平成6年1月、茨城県瓜連小学校での会でした。新年明けて間もない時期に、たくさんの先生方が集まっていました。そこで拝見した安達先生の3年「ちいちゃんのかげおくり」が私には大きな衝撃でした。
 それまで、私は国語の授業をどう進めていいか迷うことばかりでした。指導書を見て授業をするのが精一杯の毎日でした。特に1年生の授業は時間が余るばかりで、余った時間はひたすらひらがなの練習を、それも「し」とか「つ」とか1つの字を繰り返し書かせるばかりでした。正しく書けない子には、できるまでやり直しをさせました。悲しい顔を見せる子どもに頑張って書いた子どもに、私は「頑張って」と容赦のない言葉をかけていました。
 そんな私に「一緒に勉強しない?」と声をかけてくださる方があり、いずみ会に参加させていただくようになりました。何回か東京いずみ会に通わせていただき、冬の会に参加することになりました。
 修養会では、いわゆる指導案はないこと、自分で教師の問いも児童の答えも記録すること教師や子どもたちの表情をしっかり見取ること読み声の変化を聞き取ることなどを事前に教えていただいて臨みました。
 安達先生の問いに子どもたちが答えていく中で、ちいちゃんが家族と過ごした日々や離れ離れになってしまってからの日々が鮮明に私の脳裏に描かれていきました。特に最後のちいちゃんが一人でかげおくりをする場面では、ちいちゃんが私の目の前でかげおくりをし、その声までもが聞こえてくるように思うほどの感動でした。そして、〈七よむ〉の子どもたちの読み声の素晴らしさに、終わってからもしばらくは、余韻が続きました。まさに、教式の授業が終わった後、余韻が残ることを実感し、いつの日か、こういう授業ができたらという目標をもつことができました
 それから、たくさんのご指導をいただきながら今日まで続けてきました。国語の時間が教式のおかげでつらい時間ではなく楽しい時間になりました。まだまだ勉強しなければならないことはたくさんありますが、授業することを楽しみながら、これからも教式で授業を続けていこうと思います。   
     東京いずみ会  T.Ⅰ