耳 を 育 て、見 て 書 く 力 を 育 て る
今年度、一般社団法人こども発達支援研究会主催のオンライン研修、「第7回こども発達支援研修会 LDを抱える子への学習支援」(講師 前田智行氏)を受講しました。
学級での学習指導に携わっていた際も、教式を取り入れた授業は、読み書きの苦手な児童にも取り組みやすい面があるという実感はありました。今回、「限局性学習症(SLD)への学習支援」に関する専門家の話を伺って、「やはりそうか」と感じましたので、共有したく思います。
「限局性学習症」のうち、「読み書き障害」のあるお子さんは、文字と音が一致しないという「音韻の課題」があるため、「音読」(一人読み)をいくら繰り返しても文字と音がつながることはありません。その場合は、音を聴いてから文字を当てる「読み聞かせ」が有効なのだそうです。文章の意味が分かって余裕のある状態で、文字を認識できるためです。
教式が大切だとしている「音読」は、授業の最初に、一人一人が各自黙読や音読をするのではなく、「一よむ」にて、原則として学級全体で読みを聞く時間を設けている。この点において、読み書き障害のあるお子さんでも、その文章の意味を理解して授業に参加しやすく、また文章自体を読めるようにもなりやすいといえると思います。
「限局性学習症」のうち、「書字障害」のあるお子さんは、書くという運動技能の習得や、書き言葉への変換にも課題があります。そのため、文字を見て書くという練習そのもの、および書き言葉の型の練習が必要となり、「視写」が(国語に限らず)言語学習全てに有効だそうです。
教式では、「四かく」にて、本時に読み解く文章の視写を行うことから、書字障害のあるお子さんも、学年学級の国語授業に参加しながら、その練習ができるといえると思います。
今回は、「読み書き障害」「書字障害」(※研修での表記に基づきます)のある場合についてのみ取り上げましたが、教式を取り入れることで学びのユニバーサルデザイン化を図ることにもなると改めて感じています。
東京いずみ会 H.Ⅰ
* H.Ⅰさんは、特別支援教室担当で、今、育休中です。
参考: 一般社団法人こども発達支援研究会Webサイト https://kohaken.net/
「第7回こども発達支援研修会 LDを抱える子への学習支援」は、数か月おきに参加費無料にてオンライン開催されてきています。
詳細は研修会案内をご覧ください。 https://www.kokuchpro.com/group/kohaken/