「ゆき」草野心平
笠原先生の口述筆記より抜粋(第1回土曜会 昭和62年4月25日)
極度に言葉を省略していくと、これしか残らないというところで押さえている詩。
この詩は宮城県みたいに雪の少ない所で扱う場合と、雪なんて見たこともないような所で扱う場合とは扱い方が違うんだね。これは宮城県の雪ではないんだね。
もっと新潟とか奥羽山脈のど真ん中の豪雪地帯の雪。この辺(古川市立宮沢小学校)の子供だってその情景は想像できないんじゃないかな。
これと非常に似通ったやつでは、三好達治の「雪」という詩が前の教科書に載っていた。
雪
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
という二行の詩があるんだげっとも、あれなんかはもっと半端でない。あれも豪雪地帯なんだね。
詩を読む場合、作者のいる場所の設定をどう考えるか。どこの場所を想像して作っているのか。どこの場所に居て作っているのかということが、作者を想定する場合大事なんだね。
「ゆき」という詩の題を取り扱う場合、そこからほぐしていくしか手はないでしょう。
どこの場所を考えるのか。取り扱う場合に宮沢ぐらいしか雪の降らない所か、あるいは鳴子あたりだろうか、仙台あたりだろうかと子供に想像させていく。
これは、二日も三日も一週間も雪が降り続いている様子なんだということを、まず押さえなければならない。しかも、夜も昼も朝も一日中降っている状態なんだということを。
その降っている様子は、何で表しているのかと言うと「しんしん」で表しているわけだ。「しんしんと音を立てて降る雪なんて聞いたことがあるか。」と聞くと、聞いたことが無いに決まっているんだね。雪が降る約束ごとは「しんしん」で表している。
その他に知っている約束ごとないかと聞くと、子供達は知っているんだね。「こんこん」雪やこんこ、あられやこんこの「こんこん」という言葉。もう少し勉強していけば、宮沢賢治の詩にある「ぴちゃぴちゃ」降ってくると考えさせることができる。「ずんずん」というのがあるね。「さらさら」もあるね。そういうので少しお遊びをやるのね。
それを言わせてるくらい言わせてから、ここに出ている「しんしん」と言ったら、どんな雪の降り方なのかと考えてみろとぶっつけていけばいいんだね。
「しんしん」というのは、一週間も二週間も次から次へと夜も昼も降り続いている様子だということ。
それからもう一つ「しんしん」が表しているのは、物音は一つも聞こえない状態を表しているんだということを押さえていけば良い。
あとは、これを全部書かせて考えさせていくとよい。
宮城 T.S

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