6月の話題 4 伝記教材の扱い方

「キュリー夫人」笠原先生の口述筆記より抜粋
 教科書にも男女の愛や結婚について考えさせる教材がほしいと思う。

 伝記教材というのは大事なもので、プルターク英雄伝だけでなくて伝記文学というのは大事だと思う。子供の読書指導にとっても大事なものだと思っているが、うんと軽んじられているんだな。私は各学年に1つずつ伝記を入れるようにしてほしいと思っている。
 伝記教材は、小さいときから亡くなるまでの一生を貫くものを見つけておけば後は楽なんだね。その貫くものを一つ見つければ終わりなんだね。
 取り扱う場合のコツは、芦田先生の本を読むと「つらぬくもの」という言葉で表している。「つらぬくものは何か」を掴むといいんだね。
 その「つらぬくもの」を見つけるには、どこに目を付ければ良いのかというのを「教材の着眼点」という言葉で教えてくれている。
 キュリー夫人読んでみますか。順番に読んでください。
 この文章は非常に良い伝記で、白水社で出しています。出てからずうっと売れているから、おそらく世界中で何万部・何百万部売れたか分からない伝記なんです。
 伝記を書いたのは実の娘で、「マダム=キュリー」という題で書いている。
 伝記の前半は、ピエル=キュリーとのラブレターのやりとりで公表している伝記です。それが非常に良い文章で、こいつ(白水社版)の中にも出ている。
 ピエル=キュリーは、「こういう女性を妻として一生研究を続けたい。」と切々とラブレターを書くわけ。それに対して恋に悩み、祖国ポーランドを思い悩み、それから年取ったお父さんがいるという家庭事情を書いて結婚に踏み切れないでいる。
 その交換の手紙は、ラブレターの見本みたいに綺麗な文章で訳されている。
 また、この伝記で扱っておきたいのは、結婚ということを真剣に取り扱っていることです。結婚というのが出ている教材というのは、教科書教材にはほとんど出てないね。この教材で扱ったならば子供に結婚という問題をきちんと考えさせることができるんではないかと思うんです。
 戦前の「サクラ読本」には「姉の嫁入り」という教材(注)があって、嫁入りのことが国語教材に出ておった。小学生であろうが「結婚」とか「男女の愛」を扱ったものが一つか二つ出ておればと思う。道徳だけでなく必要だと思う。
 この教材はそれのサンプルになる教材ではないかと思っている。
                                   宮城 T・S
   注 尋常科用 小学國語読本 巻十一 目録「第7 姉」に出ています。