8月の話題 2

② 「二とく」の第問は題目(題名)からほぐす

 「二とく」では題目から入ります。題目は主題とのかかわりで付けられるもので、題目から話し合うことによって、子どもたちに主題把握の方向を示します。指導者にとっては、第1問を題目に絡めて出すため、教材を読む時にも、指導案を立てる時にも、この第1問が主題や要旨につながっていくことになります。
 例えば、昨年8月のいずみ会リモート研修会で、『ヒロシマのうた』(第118回国語教壇修養会)を取り上げました。安達孝之介先生は、「ヒロシマのうた」を次のように扱われました。

       『ヒロシマのうた』(6年 今西祐行・文)

〇 ヒロシマのうたという題だが、ヒロシマ(指し示しながら)というのは分かるか。広島の町なのだが、ふつう、何と書く?
    …………。
〇 ふつう、片仮名で書くか。
   (挙手をせず、答えている児童がいる。)
〇 うん、分かったら、手を挙げて。ふつうは何で書く。あなたは。
    漢字。
〇 漢字で書くね。ふつうだったら、こう(広島と板書して)書くでしょう。それなのに、片仮名でわざわざヒロシマと書いた。どうして、片仮名にしたか、分かりますか。
    …………。
〇 日本の地名だったら、殆ど漢字ですね。私の住んでいる青森県には、平仮名で書く市が一つだけあります。むつ市というのは平仮名で書きます。ところが、片仮名で書く町というのは、日本にはない。それなのにどうして、片仮名でヒ、ロ、シ、マ、と書いてあるのだろう?
    …………。
〇 ここの町は、特別な町なのです。他の町ではなかったことがここで行われたのです。非常に、大変なことがあったのだ。世界で一番最初にやられたのだ。何でやられたの?
    …………。
〇 恐ろしいものが落ちたのだよ。あっという間に町が全部なくなったのだよ。(黒板に原と書いて)上にこの字が付くものだ。下にもう一つ漢字が付く。はい、あなた。
    原爆。
〇 原子爆弾だね。略して原爆というね。
   (原子爆弾と板書する。)

 この題目の第1問には感動しました。24年経った今もはっきりと思い出せます。安達先生は、題目の扱い方を見事に示してくださいました。

『題目というのは、文章の象徴です。作家は題が決まるということは、全文の構想ができたことだと言っています。だから、題目をほぐすことは、全文の輪郭をつかませ、読みの方向を暗示(それとなくわからせる)することになるわけです。』(笠原昭司先生著 『教式の話』P30)
       兵庫 K.N