…… 小学校の国語の授業を考える ……
芦田恵之助 教式と教壇・綴り方教授 明治図書 国語教育名著選集 昭和48年2月1日 発行より
今、『教式と教壇」(昭和13年=1938年)を読み直しています。その中で面白いことに気づきました。みなさんはどうお考えになるでしょうか。
一 緒 言
例によって、何故この書を書くに至ったかと述べて、緒言と致しせう。
何時であったか、鈴木(佑治)君が突然駒込の宅に来て「先生先生の教式を簡潔に書いて下さい」といひました。
…… 略 ……
… 垣内先生の指導過程の問題を戸山小学校でうかゞひました。その時私の胸を強くうちましたのは、手続きと手順のお話でした。
…… 略 ……
先生にかう言われてみると、私が教式について今まで説きましたことは、悉くその輪郭、手続きの上には出ませんでした。
少しも手順に関して即ち精神については触れるところがなかったのです。
道理で続いてゐてもさびしい気持がしたり、いやな気持になったりしました。
私も今後は私の教式を生かす精神について、十分に考へもし、同志の教壇を見る時にも、その手順を見るように努めて、いよいよ修行をつゞけようと思ひます。
実 践
志村第一小学校 尋六 源氏物語 昭和13年4月23・24日 40・41ページを読むと80年前の芦田先生のお嘆きが現実のものとなっていることに驚きます。