年 の 始 め に
新しき年の始めの初春の
今日降る雪のいや重け吉事 大伴家持
万葉集の最終歌です。大伴氏は天忍日命を祖とし代々天皇を守ってきた名家です。しかし、時代の流れと共に政権の中枢から外され没落します。この歌は、名家の長男としての当時の家持の心境を詠んだと言われます。
私がこの歌に魅かれるのは、家持の息遣いが伝わってくるからです。千数数百年を経た今も心に響いてきます。
教式の筆録にも同じ事を思います。先師芦田先生、師鈴木先生、先達の筆録を読むと、教室の様子が目に浮かび、声が聞こえてきます。何年経っていても、色褪せることはありません。この良さ、素晴らしさをわかる人は、必ず出てくると考えています。本物は必ず残り、受け継がれていくと思います。
静かに降り積もる雪のように、たゆまず、教式の道を守って歩むことが、私のつとめだと考えています。
島根 Ⅿ.N