坂 本 教 室 の 話 し 合 い
― 一 本 の 線 ―
昭和25年11月28日から3日間、芦田先生は長野県城山小学校の6年生同一教室で、読み方(木もと竹うら)と綴り方の授業をされました。授業後、子どもたちが感想を話し合いました。それを読むと、3日間が子どもたちにとっていかに素晴らしい学びの時間であったかがよくわかります。
「先生は杖をついたおじいさんかと思っていたが大変若々しかった。」
「先生は優しい表情で、とてもわかりやすく、心をこめて教えてくださった。」
「先生の身体全体が字に向いているよう。」
「先生のお心が表れたような字。」
等々、芦田先生のお姿と温かい教室の雰囲気がまざまざと浮かびます。
3日間の先生のご教壇のねらいは、文段を意識しない子どもに、段というものは何のために切るかということをしっかり押さえたい点にありました。「木もと竹うら」では一本の線で段落とその内容を考える。綴り方では、一本の線を引いて、書こうと思うことを段落に分けて考える。読みと綴り方は車の両輪であると教わりましたが、実にこのご教壇のことだと思いました。
川﨑先生が5年生担任をしておられた時の作文の話をして下さったことがあります。原稿用紙に書く前に、小さいカードに一線を引いて、段落ごとに短い言葉で書くというもので、見本を示して下さいました。芦田先生に学ばれたことを、実践を通して教えて下さったのです。
芦田先生は「一本の線は一代の宝である。」と、子どもたちに話されました。この線を持っている人といない人ではたしかさが違うと。
この”たしかさ”が、子どもたちの育つ原動力となり、国語だけでなく、生活にも大きな力を持つのだと考えました。
島根 M.N
