真 実 の 教 育 を 求 め て
― 戦 後 の ご 教 壇 ―
「七変化の教式で、出来ない子どもはちっとも発動的にならない。どれくらい苦にやんだものか知れない。」
芦田先生は戦後も倦むことなく教壇の工夫に取り組まれました。今回のご教壇もその一つです。
「七変化の教式は是が非でもということではない。私は教材というものを大切に考えている。子どもが1回か2回、わからないなりに読んでみて、自分に響くところはどこだろうかと考える。教師も真剣に読んで、教師自身に響くところを考える。教材を中心にしてお互いに語り合うということが、国語教授の行き方だと思う。教材によって、日によって、日々これ新たなりです。」
「木もと竹うら」のご教壇の流れは、七変化の教式と形式上はずいぶん異なります。
一日目
(段の切り方がどうなっているかということをよく見て下さい。)
・自由読(段落に気づかせる)
・題目板書
・わからないところはあるか。
・一線を板書し、8つに区切る。
・読む(1人)
・話し合い … 2つの課題を考えて
・文がおかしいと感じたところ
・文段を考える。
・自由読(段落を考えて、内容により大意把握)
・先生の読み(範読)
・各段落の要点を短い言葉で考える。
・自由読(7、8段落のみ)
・明日の仕事(綴り方を線にのせて考える)
二日目
(一線と題目を切ったのが残してある。)
・題目板書
・昨日の2つの問いの確認
・自由読
・おさらえ
・読む(1人)
・話し合い
・各段の要点を文中から選んで書く。
・明日の目標について
三日目
(一本線にのせて考える。)
・昨日の松村徳子さんの綴方「きり」を例に
・自由読(昨日拾い出した言葉を考えながら。)
・おさらえ
・昨日書いた言葉を考える。
・四段落は子どもの考えたのに変更
・昨日書いた綴り方から気の利いた題を紹介
・松村徳子さんの「きり」を読ませる。
・先生が「きり」を読みながら松村さんの考えを確認しながら段を考える。
・読む(1人)
・7、8段で感じたことはないか。
・一線を使うと考えがまとまる。
単なる話し合いではなく、子どもの考えを大切にしながら、師の考えを交えて、お互いに真剣に話し合い、教材の核心に迫っていく。先生の求められた真実の教育の記録そのものと感じます。
戦後、教式を批判された方々もありますが、西尾実先生は次のように話されました。
「芦田先生の七変化のお説は立派に生命がある。あれを変な固定したもののように受け取っているのは、理会の仕方がまずいのだ。」
芦田先生が亡くなられる年(s26)の夏、鈴木佑治先生に話されました。
「終戦後、人の注意もあって、教式を色々変えてみたんだよ。ああでもない、こうでもないと工夫してみたが、一つとして、これで安んじられるというものはなかった。この春(s26)から元の教式に戻してみたら、子どもはとても喜ぶじゃないか。いかにもそうだという顔をするものね。わしの教式は、60年のかさね写真だろう。捨てられもしないし、捨ててもならぬとしみじみ思うよ。」
島根 M.N
