11月の話題 3

特別支援教育と芦田教式(先手必勝)

 芦田教式には、先手必勝の躾の技がたくさんあります。
 授業に入る前に、ノートの今日書くところに下敷きをはさみます。ノートを閉じ、その上に教科書をのせます。教科書には、今日学習する所のページに鉛筆を一本はさみこんでおきます。この道具以外は全て机の中にしまわせます。
 これは、作業を効率よく迅速に進めるための技ですが、教科書に鉛筆をはさみこむことで、鉛筆が転がらずにすみます。そして、作業に必要な物以外はしまわせますので、気が散らず学習に集中させられます。
 これは、どの子にとっても良い躾の習慣だと思われますが、発達障害を抱えたお子さんにとっては、格別な効果があります。なぜなら、発達障害があると細かな位置が捉えられない、指先を器用に使えないというお子さんが多くいるからです。転がらずに簡単に処理できるのはとても助かるのです。
 そしてADHDのお子さんにとっては、気が散る物がそこに無いというのは、とても良い学習環境だと言えることでしょう。
 さて授業に入ると、
「教科書を開いて、鉛筆を持って(区画の)番号を書きましょう。」
 書き終えると、
「鉛筆は、ノートの今日書く所にはさみましょう。」
と指示します。
 次の作業を見通した指示を与えるわけです。これらを毎時間繰り返して、躾がゆるむことのないようにします。
 挙げていくと数え切れない書き切れない程の技がありますが、今回は、「四かく」に入る前の指示を紹介します。
「マスいっぱいの大きな字で、力を入れて丁寧に書きましょう。書き終わったら、教科書と見比べて間違いがないか確かめましょう。それが終わったら、黒板を読んで待ちましょう。」
 子どもたちの行動の先を読んで、あるべき姿を先に伝えておく。そのことが、特に発達障害を抱えたお子さんには有効な手立てだと思われます。

          宮城 M.A