11月の話題 1

特別支援教育と芦田教式(作文)

 一般的な国語の指導方法で、発達障害などの特別支援を要する子どもたちへの教育は、できるのだろうかと思われる方も多いのではないかと思います。
 今月、私は自分の芦田教式での授業経験から、この教式が発達障害のお子さんが楽しく、楽に学べることをお伝えしたいと思います。
 本日は、作文についてです。
 芦田式作文教育では、沢庵石になれという教えがあります。初めての作文指導をさせていただいた時、そこの教室にはADHDのお子さんがいました。常にしゃべり、動き回るお子さんでした。教卓の傍を一歩も動かず、指導できるものだろうかと不安で仕方がありませんでした。
 しかし、やってみなければ分からない、辛抱強くやってみようと決めて、授業に臨みました。文話、文題を終え、いよいよ問題の記述です。「息を整え、姿勢を正し、ゆったりと立つ。子どもたちを見守り、目が合えばにっこりとうなずいて励ましを送る。」と教えていただいた通りを実践しました。
 ADHDのお子さんは、二度、三度ちょっと不安になったらしく、じっと見つめてきました。その都度、心の中で「大丈夫ですよ。あなたはできますよ。」と唱えつつ、笑顔とうなずきを送りました。
 その子は一言も発せず、離席せず、しっかりと書き上げていました。本当に驚きもし、感動しました。その子の頑張りがとても愛おしく思われました。そして、教式として伝えていただいてきた意味、価値に気づかされました。
                宮城 M.A