1月の話題 2

メ ッ セ ー ジ カ ー ド


 杉田先生は70歳を過ぎても国語教壇修養会の壇に立たれました。厳しい修養に裏打ちされたその姿は、凛として実に美しいものでした。
 修養会で雑談の折、先生からおうかがいした話です。
 先生が退職後、ある学校に病休補充の講師として請われて勤められました。4年生のクラスで相当やんちゃだったようです。取っ組み合いのケンカをする。壁には「先公、死ね!」の落書き、今でいう学級崩壊でしょうか。ところが、任期の終わる頃にはすっかり落ち着いたそうです。別れの際には、お母さんたちが感謝の送別会を開いてくれ、先生は前担任に声をかけて一緒に参加されたとか。保護者にも子どもの変容がわかったのでしょう。そして、一人の男の子が小さなメッセージカードを渡しました。そこには
 「先生、〇〇君とぼくを仲良くさせてくれてありがとう。
と書いてありました。杉田先生は、
 「私は特別なことは何もしなかったのよ。教式の通りに、読みと作文の授業をしただけ。
と、淡々と語られました。
 教式によって、どの子も育つことを教えられた話でした。そして、常に教えられてきた、「作文」と「読み」は「国語指導の両輪」であることを実感したのです。 
    島根 M.N