令和4年1月31日(月)~2月6日(日)  第44週

…… 小学校の国語の授業を考える ……

「かさこじぞう」 (その5) ~ 鈴木先生のご教壇 (第二次指導 前半) ~

鈴木佑治先生の「かさじぞう」(第二次指導 前半)のご教壇を紹介します。
今回は、「一よむ~五よむ」までとします。

  ※ 芦田先生は、筆録の音読を勧めておられます。
  「読者の生命語で、教壇調にのせて音読してほしい。」と言われております。
   お試し下さい。
   鈴木先生と百石小児童との問答の味わいが感じられると思います。

第二次指導 (第一時) 昭和39年12月30日 ( 10時10分 ~ 10時50分 )

一 よむ  8 区画 8 人
二 とく
〇 おさらい
 ◦ おじいさんが家を出る時、笠を持って出たでしょう。
  この笠を、おじいさんはどうしたか。(かさと板書)あなたは?
                           (町へ売りにいきました)
 ◦ 売りにいきました。売ったらお金が入ってくるでしょう。    (お金と板書)
 ◦ このお金で、帰りに何を買ってきたいと思ったのか。  (なあも買ってこない)
 ◦ そうかな。何か買ってきたいのさ。
  そのために笠を売りにでかけたのだよ。       (もち)
 ◦ おもちだよ。(もちと板書)あしたはお正月で、もちを食べたい。
  笠を売ったこのお金で(板書を示されながら)もちを買ってこようと思ったのだよ。
 ◦ おじいさんの家は、とってもどんなうちだったか?          (貧乏)
 ◦ 家の中には何にもないの。お正月にはもちを食べたいのだけれども、
  もちも何もない。それで、もちを買おうと考えたのだよ。
 ◦ そして、出かけていったら、その笠をお金にしたのかな?     (しません)
 ◦ お金にはしませんでした。何にしたの。      (地蔵さまにかぶせました)
 ◦ (おじぞうさまと板書)お地蔵さん、お金くれたか?石のお地蔵さんだよ。
  「ありがとう。そら、お金。」なんて下さったか。お地蔵さんは下さらないだろう。
  それでも、おじいさんは、笠をみんなお地蔵さんにあげてしまいました。
 ◦ (いままでの板書でもう一度はっきり確かめられる)家を出る時は、
  この笠を売って、そのお金で、何をもって帰ろうと思って出てきたの? (もち)
 ◦ ところが、途中で雪をかぶったお地蔵さんの姿を見て、あんまりかわいそうにな
   ってしまったの。いっぱいここに(頭をおさえられて)雪がつもっているお地蔵
   さんを見て、かわいそうに思いました。それで、おじいさんは笠をみんなお地蔵
   さんにあげてしまいました。
◎足場 注:現在は「承接」
 ◦ おじいさんは家を出るときは、自分の口を考えたの。あしたは、この笠を売って
  もちにして、と思って売りに行ったのだろう。ところが、みんな、お地蔵様にた
  だであげたのだよ。
 ◦ おじいさんは、お地蔵さんの前に来たときは自分の口を考えたのか。(考えない)
 ◦ 誰のこと考えたの。                     (お地蔵さん)
 ◦ お地蔵さんのことです。雪をいっぱいかぶって、お地蔵さんは立ってござる。
   かわいそうだなあと思ったの。もう、自分のかわいそうなのは、すっかりわすれ
  たの。
 ◦ しまいには自分の笠を……、これまでかぶっていた笠もあげてしまったの。持っ
   て行った笠もあげ、さっぱりとお地蔵様にかぶせて帰りました。
 ◦ おじいさんが家に帰っていったら、おばあさんは悪い顔をしたか。  (喜んだ)
 ◦ おばあさんもいっしょになって喜びました。おじいさんも、おばあさんも、とっ
   ても心のやさしい人たちだね。それでは、おじいさんとおばあさんのところを書
   いて考えます。
〇 手引
 ◦ おじいさんがお地蔵さんに自分の笠をあげたところ、何番目か。 (5番目です)
 ◦ 家に何も持たないで帰ったところは何番目か。            (6番)
 ◦ 6番と5番の、こういう 「 」 のついたところ、みんな書きなさい。わかった
   でしょう。
三 よむ
四 かく   (板書、第二次なので分量多く、数名書きおくれた子あり。)
 ◦ それじゃ全部しまいなさい。今急いで書くなよ。急いで書いたら、そまつな字し
   か書けないよ。
五 よむ
   (指黙読一回)
   (指音読一回)