…… 小学校の国語の授業を考える ……
「かさこじぞう」 (その3) ~ 笠原先生のご教壇 ~
昭和63年1月の修養会で見せていただいた笠原先生の「かさこじぞう」は、
「お正月様を迎える話」と「お地蔵様への信仰」の二つを一つにした取扱いでした。
じいさまとばあさまが、お地蔵さまにかさをかぶせてあげたら、そのお礼にお正月のごちそうをプレゼントしてくれた話としか読んでいなかった私には、驚くべき授業でした。第一次指導の概略を紹介します。
一 よむ
九区画。挿絵にも番号。九人で順繰り読み。
二 とく
〇題目(板書 かさこじぞう)
◦ 地蔵様は、何で作られたお佛様か。(石。)
◦ この地蔵様、初めからかさこ冠っていたか。(冠っていませんでした。)
◦ 最初は、ただの地蔵様。かさこ冠るようになって、かさこ地蔵様になった。
◦ かさこ冠せてもらう前は、何、冠っておったの。(雪です。)
◦ 雪こ地蔵様になっていた。その雪を払ってかさこ冠せたのは。(じいさま。)
◎ひびき
◦ かさこ作ったのは、誰か。(じいさまとばあさま。)
◦ 本当は何をするために作ったのか。(売って餅を買うため。)
◦ お餅買って何するんだろう。(食べる。)
◦ 食べるのかな。(お正月だからお供えする。)
◦ かさは全部お地蔵さんにあげて、それでも足りなくて、何まであげたのか。(手拭い。)
◦ 家に帰ったら、おばあさんはどんな顔をしたか。(いやな顔ひとつしませんでした。)
〇手引き
◦ おじいさんのいるところを見つけて書いて下さい。(板書参照)
六 とく
◦ おじいさんが出かけていって、いちばん大変だったのは、何番目か。(4番目です。)
◦ 野原へ来たら、お天気悪くなって、何降り出したのかな。(ふぶき。)
◦ 雪まみれの地蔵様を見て、じいさまは、かさと自分の手ぬぐいを地蔵様にあげた。
◦ もちが買えなかったじいさまとばあさまが、お正月様にやったこと。
(もちつきのまね。)
◦ いろりのところで、餅つきのまねをした。お正月様には聞こえたろうか。(聞こえた。)
◦ お正月様だけでなく、まだ聞いておった人がいたよ。誰聞いておったの。(お地蔵様。)
◦ あしたは、お地蔵さんの雪をとってあげて、かさを冠せるところ、
もう一つは、お餅をつくまねごとをやりながら、一生懸命お正月様に聞いてもらう
ところの二つをやります。
七 よむ
◦ では、大きな声で読んで終わりにしましょう。(板書を指音読)
一読すればお分かりのように、「二 とく」 ◎ひびき でも、「六 とく」でも、「お地蔵様」への思いと「お正月様」をお迎えする気持ちが、子どもたちに分かり易いように扱われております。
私は、ここ二年間で二回、「かさこじぞう」の授業をさせて頂きました。昭和63年の教科書と文章は同じですが、挿し絵が変わっております。おととしは七区画、昨年は八区画で扱ってみました。手引は、いずれも「じいさまがしたこと」としました。第一次指導の発問の流れは、笠原先生がなされたものを踏襲しています。それが二年生の子どもたちにも分かり易いからです。また、「よいものは頂戴すればよい。」と、笠原先生に教わりました。頂戴する授業が沢山あって、有難いと思います。
次回は、鈴木先生の「かさじぞう」のご教壇を紹介します。
※ 笠原先生のご教壇は、第一次指導から第三次指導まで、計5時間の記録が
「いずみ会百回記念誌」に掲載されています。
また、第95回国語教壇修養会の教壇筆録には、笠原先生の感想文が載っております。