…… 小学校の国語の授業を考える ……
「かさこじぞう」 (その6) ~ 鈴木先生のご教壇 (第二次指導 後半) ~
鈴木佑治先生の「かさじぞう」(第二次指導 後半)のご教壇を紹介します。
今回は、「6とく~7よむ」です。
六 とく
〇 区分
◦ おじいさんのいた場所を考えて三つに切りなさい。 (……?)
◦ おじいさんがお地蔵さんの前で言ったところはどれとどれか?
(わしは、この手ぬぐいでたくさんだ)
◦ そうだ。ここまではお地蔵様の前で言ったところ。
それでは、おじいさんのうちで言ったところはどこだ。 (正月のもちは買えないが)
◦ これは、おじいさんの家で言ったのか。 (雪の中を帰ってくる時)
◦ (区分のしるしをつけられて)これは、おじいさんが家にくるまでに帰りながら言った
ことば。これは、おばあさんが、おじいさんに言ったことば。これは、おじいさんが家
で言ったことば。
◦ これは(「そうだ。もう一つ、わしの……」)どこで言ったことばか?
(お地蔵様の前で)
◦ お地蔵様の前で言ったことばだが、これは二つに切りなさい。 (……?)
◦ 先生切ってあげるか。ここで(「そうだ。」)切るんだよ。
◦ これを(「正月のもちは……」)二つに切りなさい。 (正月のもちは買えないが)
◦ 惜しかったな。ここで(正月のもちは買えない)切るの。
◦ さあ、これも(おばあさんのことば)二つに切りなさい。(それはおじいさんの言う通り)
◦ これも二つに切ってみなさい。 (屋根もある)
◎山 注:現在は「心」
◦ おじいさんは、これを言う前(区分の一)には、どんな顔をしておったのか。どうしても
足りない。一つだけ足りない。どんな顔しておったか。 (こまった顔)
◦ ところが、これを言う時の顔は、どうなっていたか。 (うれしそう)
◦ うれしそうに、にこにこしていました。おじいさんがにこにこしたのは、
こっちか、こっっちか? (そうだ)
◦ こっちです。みなさんだってやるんだよ。算数なんか、なかなか分からなくていろいろ考
えて、分かった時、そうだ、とえらいにこにこするでしょう。
◦ さあ、帰ってくる途中で、おばあさんにしかられると思ったか?(しからないと思った)
◦ しからないさ。うちのおばあさん、そういうおばあさんでない。きっと(〇で囲まれ)
わたしと同じ心で喜んでくれるだろう。そう思って家へ帰っていった。そしたらやっぱり
喜んでくれた。
◦ ここ(おばあさんのことば)、おじいさんを励ましたのどっち?前の方か、後の方か?
◦ おじいさんをほっとさせようと思って、おばあさんが言ったところはどこかな。
前か後か。 (あと)
◦ この中で(おばあさんのことばの後半)、それを聞いたら、おじいさんがほっとすること
ばがあるんだよ。たった字一つだ。 (よ)
◦ 「もちぐらいなくたって正月はやってきます。」(語感で)こう言われるとしかられたよ
うだろう。「もちぐらいなくたって正月はやってきますよ。」(やさしく)こう言われる
と、なんだかほっとするだろう。
◦ この中には(おじいさんのことば)家へ帰ってからも、おじいさんがお地蔵様のことを考
えているところがあるだろう。前か後か。 (前の方)
◦ いろりの火もない、屋根もないところにござるの誰? (お地蔵さん)
◦ とうげの上は雪や風がふきつける。笠をかぶっても、お地蔵様は寒かろう。冷たかろうと
考えると自分たちはとっても幸せ。もちは食えないけれどもあしたはお正月を迎えること
ができるの。とってもよいおじいさんとおばあさんだな。
七 よむ
◦ 読みたいけれど、読まないでおしまいにします。
「かさこじぞう」の教壇筆録は、私の知る限り以下のように残されています。
1 昭和39年12月 第48回国語教壇修養会 青森県百石町立百石小学校
3年「かさじぞう」(教育出版) 授業者 鈴木佑治先生
2 昭和56年1月 第81回国語教壇修養会 愛知県岡崎市立本宿小学校
2年「かさこじぞう」(東京書籍) 授業者 安達孝之介先生
3 昭和59年1月 第87回国語教壇修養会 兵庫県市島町立竹田小学校
2年「かさこじぞう」(東京書籍) 授業者 杉田すま先生
4 昭和60年12月 第91回国語教壇修養会 宮城県岩出山町立池月小学校
2年「かさこじぞう」(東京書籍) 授業者 助松太三先生
5 昭和63年1月 第95回国語教壇修養会 宮城県古川市立宮沢小学校
2年「かさこじぞう」(東京書籍) 授業者 笠原昭司先生
今回、上記の1と5を紹介申し上げました。その他の筆録も、先達渾身の御教壇であり、読み応えのあるものばかりです。身近に筆録をお持ちの先生がいらっしゃれば、ぜひ借りて一読されますことをお勧めいたします。
また、現在は「かさこじぞう」の題で、教育出版、東京書籍ともに2年生の教材として教科書に掲載されています。先達の筆録も参考にしていただきながら、授業実践を深めて下されば、先達の先生方も喜ばれるのではないでしょうか。
以上で、「かさこじぞう」についての話題提供を終わります。
※ 上記3~5は、「いずみ会公式サイト」から筆録を読むことができます。
①「いずみ会公式サイト(http://izumikai100.com)」で検索。
②ホームページの上部に並んでいる言葉の左端
「いずみ会公式サイト」の文字にカーソルを合わせる。
③「芦田教式のホームページ」をクリック。
④「芦田教式のホームページ」に届いたら、下の方に「筆録」の欄がある。
その中の「筆録のページ」をクリック。
⑤「教壇筆録」の一覧表が出るので、該当する修養会を探し、右側にある「PDF」
という青い文字をクリックすると、その修養会の筆録を表紙から順に読むことができる。