5月の話題 1

杉田すま先生に学ぶ

 私は、退職した今頃になって思うことがあります。
 それは、教職に就いた初めから、杉田先生が書かれたような心持ちを持って素直に学び取っていたら、どんなにか充実した日々を過ごせたのではないかということです。これが、これから紹介する杉田先生の文章に接しての私の第一印象でした。いずみ会の書籍の中に「教式の話」があります。その中の「入門期の教式」が杉田先生の書かれたものです。まず、この文章の書き出しをそのまま紹介いたします。

 「少しばかりの不安と、胸いっぱいの希望、期待、誇りで瞳を輝かし、一言も聞きもらすまいと先生を見つめている一年生を見ていると、この入門期をスムーズに楽しく、そして六年間を通じ、というより一生を通じて、読む事の好きな子に育ってほしいと、どの先生も願うのではないでしょうか。」

 子どもたちの本来ある姿を何と生き生きと捉えておいでなのでしょう。不安、希望、これはすんなり分かります。期待、ここまでは何とかついていけましょう。誇り、これをすっと出される、よくよく子どもを見つめ、子どもを理解しようと寄り添っておいでの言葉だなあと思います。

 そして、一生読むことの好きな子に、です。素敵な願いです。その指導は「教え込むのでなく、子どもの動きに応じて、読む書くことの楽しさ、喜びを味わいながら入っていく」というのです。何と心浮き浮きする、学びの世界へのお誘いの言葉でしょうか。

 その指導方法を
 一 みる
 二 ことばのけいこ
 三 かく
 四 よむ
 五 とく
の手順で示されています。

 私はこの後、一について(12日)、二・三について(19日)、四・五について(26日)、紹介していきたいと思います。
         宮城  M.A

 杉田すま先生は、鈴木佑治先生と杉並区立第七小学校でご一緒に勤務されておられる時に芦田恵之助先生がお亡くなりになったことを知りました。昭和26年12月のことです。その時の鈴木先生のお姿が印象に残っておられると話しておられます。杉田先生は、いずみ会のお母様と慕われておられました。体調を崩されていずみ会に参加されなくなる傘寿を超えるまで真摯に学びを続けられるお姿は、後進の者に勇気と希望を与えてくださいました。また、大村はま先生とも親交があったようです。(事務局)