令和4年1月3日(月)~1月9日(日)  第40週

…… 小学校の国語の授業を考える …… 

 「かさこじぞう」(その1) ~ 23年温めた教壇 ~

明けましておめでとうございます。
 お正月にふさわしい教材と言えば「かさこじぞう」です。
 そこで、今月は、「かさこじぞう」に関わる話題を取り上げます。

昭和63年1月の国語教壇修養会で、いずみ会の先達である笠原昭司先生は、「かさこじぞう」を扱われました。

当時校長をされていた、宮城県古川市立宮沢小学校における第95回国語教壇修養会での授業でした。

これは、笠原先生が現職として教壇に立たれた最後の授業であり、授業されての感想を、修養会の筆録に次のように書かれておられます。

  「かさこじぞう」は、私のあこがれの教材でした。
  鈴木先生が、「かさこじぞう」を扱って下さったのは、昭和39年の冬の会でした。

  (中略)いつの日か、
  「かさこじぞう」の教壇をいずみ会で行じてみたいと、その時から思っていました。

笠原先生の師、鈴木佑治先生の「かさこじぞう」の教壇をご覧になって以来、約23年もの間、温めてこられた教壇でした。

このとき、指導部長米澤德一先生は、「悠々たる境地を開かれた教壇。」と評されました。

さらに、
「子どもに密着している。民話の語り口が出ている。幼稚園での語り(注)が年と共に熟してきた。無駄がない。必要のないことはやらない。」
と激賞されています。
   注:隣接する幼稚園長を兼務され、毎日読み聞かせをされていた。

鈴木佑治先生が取り扱われたのは、3年の教材で、「かさじぞう」という題目でした。

「正月には、もちの一つも食べたいものだが、売る品物もないし……。」

笠原先生の授業は、現在と同じ2年の教材で、挿し絵は違いますが文章は同じです。

「ああ、そのへんまでお正月さんがござらっしゃるというに、もちこのよういもできんのう。」
 
じいさまの言葉の違いが、授業の構想に大きく影響を与えています。

これは、次回の話題にします。

 なお、1月4日は、笠原先生の命日です。
 (笠原昭司先生は、平成18年1月4日享年80歳で逝去されました。)