11月の話題 2

芦田先生の「小学国語読本と教壇 巻二」より その2

話す心で読む

  何としても国語の使用を第一義に引き返さなければ、国語教育の意義をなさぬ。第一義に引き返すとは、まごころの命ずるままに使用することである。
 私は読みについて常に児童に要求している。必ず「話す心で読みなさい」という。
 今、全国いずれの所に行っても、殆ど話すように読む所はない。いわゆる学校読みという一種の読み癖がある。国語を第一義に使用しようという緊張の欠けた所から来る人間堕落の一相で、文化の悲哀ともいうべきものだ。
 小学校の教室において、内から萌えあがる心の叫びを読ませないで、徒に他に追従する俳優のまねごとをしているのを悲しむ。

                        芦田恵之助全集第15巻 P.521及びP.538より

 指音読のとき、「話すように読んでください」と声を掛ける背景に、このような強く激しいお考えがある。

岩手県 Masa.K

註 第一義 それを欠くと、本質を見そこなうおそれのある大事な事柄。(新明解国語辞典)

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